MVのはなし。(3)Mop of Head「Retronix Symphony」
どうも、もりたです。
このMVのはなし。はやたらめったらMVを見る僕が世の中に隠れているMVやらこいつはすげぇやってなったMVを紹介するだけの記事です。探せば探すほど、MVって出てきますよね。関連動画を巡る旅がとてつもないところまで進んでいます。
今回はこちらです。
Mop of Head 「Retronix Symphony」
壮大かつ昂揚する4つ打ちとともに流れる空想動物達の大行列。シルエットだからこそ、想像を掻き立てる造形。見た瞬間にレオ・レオーニの「平行植物」を思い出しました。スイミーの作者が描く架空の植物達。そんな、この世にもしかしたら存在するかもしれない。存在していたらいいのに。そう思わせるような動物たちが実在する動物たちと行列をなして、通り過ぎていく。たまに万物の理を超越したようなやつがいますけど。なんとこの曲、一時期オリックスがスターティングメンバーを発表する際に使用していたみたいです。とんでもなくセンスあるなオリックスの人。
アーティストはMop of Headで4人組のインストゥルメンタル・ダンス・ロック・バンドバンド。お恥ずかしい話ですが、このMVを見るまでは名前もどんな音楽をしているかも知りませんでした。少し調べてみると、ブレイクビーツ、ダブステップ、ドラムンベース、ハウスなどのクラブミュージックを生演奏で表現するロックバンドとして成長。 「人間が限界の状況で奏でるループが生み出す歪み、そこから生まれる快感」を追求すべく、ライブでは同期系機材やループを一切使用しないスタイルをとっている。と、とても挑戦的なことを信念に掲げていました。(wikipedia参照)
今回の曲はインストゥルメンタル。どうしてこのMVを制作したのか。それを一生懸命読み解くのがこの記事ですが、いわば歌詞という圧倒的な情報が不足しています。というわけで、今回は曲名から色々と考えてきました。先程も申し上げた通り、曲名は「Retronix Symphony」レトロニクス・シンフォニー。レトロってよく使いますけど、実際どんな意味かはっきりとわかっていなかったので調べてきました。復古調、っていう意味らしいです。つまり、あえて古いものを使うこと。シンフォニーは交響曲です。ONE PIECE空島編の知識がここで役に立ってくるとは思いませんでした。
では交響曲とはなにか。管弦楽のためのソナタと呼ばれる、多楽章からなる大規模な楽曲です。主に4つの楽章からなることが多く、世界で一番有名な交響曲はベートーヴェンの交響曲第9番。あまりクラシックに明るくない僕でも知っているくらいですので、皆様聴いたことがあるかもしれません。そういうものと照らし合わせていくと、この曲が4つ打ちのリズムでありながら何度か曲調が変わっていることが交響曲を踏襲しているのが伝わってきます。
調べていると、タワーレコードの記事でこのバンドを発足した中心であるGeorge(ジョージ)のインタビューがありました。そこで、この「Retronix Symphony」が収録されている「Retronix」について話していたので引用させていただきます。
「音楽の歴史はそもそもインストで始まっていますよね。昔はそれがスタンダードで、そこからポップが生まれてきた。その流れと歴史を体験してもらいたくて『RETRONIX』って付けたんです。僕らはインストだけどシーンのなかにこもることなく打って出ていきたい。そのために自分が勉強してきた音楽のルールを駆使してポップをめざす。自分たちの快感を外に持って行きたいんですよ」
クラシックがあって、ポップがある。音楽は歴史あるもの。そんな思いが、このアルバムには込められているんです。
ここでMVの話に戻ります。大事なことは、歴史と系譜。よくよく見ていれば、登場している幻想的な動物たちはすべて実在する動物をモチーフにしています。彼らこそが「ポップ」なんです。歴史がある、古来からいる動物たちをアレンジしてことこそ魅力的な生物が生まれていく。「Retronix Symphony」は音楽の歴史とそれを踏襲してこその新たな可能性を表現しています。そして最後には、その生物たちが人間を型どります。その人間こそが「Mop of Head」です。大行列の一番最後にも登場していました。
「Mop of Head」はそういった音楽の歴史を大事にしながら、自分たちが求める音楽だけをやり続ける。
このMVには、きっとそういったメッセージが秘められています。
こちらからは以上です。
ありがとうございました。
個人的に、ミツゴガニとボーボーヤドリとサンカクコビトが好きです。