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MVを見る男。NakamuraEmi「雨のように泣いてやれ」

 

 アメリカで最も長く放送された番組、それがソウル・トレインだ。およそ35年もの間続けられた番組と聞くと、いかに愛されていたのかがわかる。僕はこの番組を見たことがない。調べてみると、その音楽番組がソウル・ミュージックの発展に貢献してきたかがわかる。ステージ上で演奏するアーティスト。そのフロアで踊るダンサー。彼らが陽気にただ楽しそうに踊っている映像を見た。なんだか元気が出る。そんな話をしているのは、このMVがその「ソウル・トレイン」をオマージュした作品だからだ。

 

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 「NIPPONNO ONNAWO UTAU Vol.6」のリード曲として発表されたこの作品は、「SOUL」と「RAIN」という言葉遊びからソウル・トレインのオマージュ映像が制作された。経緯にはびっくりしてしまうが、舞台もファッションやヘアースタイルなど完成度は高い。そこまでしっかりしているこのMV。なにか想いが込められているようで気がしてならない。ソウル・ミュージックと言われるとどんなものか皆さんは思い浮かぶだろうか。R&Bなどのブラック・ミュージックがポピュラー音楽へと変化していく際に出来上がったジャンルを言うそうだ。調べていたら、僕の好きなEarth, Wind & Fireもソウル・ミュージックらしい。あんな感じ、多分。

 

 この曲は「NIPPONNO ONNAWO UTAU Vol.6」というアルバムに収録されている。日本の女を歌う。日本の女性がきっとみんな心のなかに隠している叫びや願いを、彼女は、NakamuraEmiは歌う。心のそっとずっと奥の底。そうしたみんなに向けた音楽こそが他でもないあなたに届くのかもしれない。僕も含めて。

 

 そして、ソウル・トレインという番組はアーティストよりもその下のフロアで踊るダンサー達が主役に見えるくらいに輝いていた。いや、あの番組のスターはきっとダンサーだ。音楽を聴いて陽気に踊る彼女らは、このMVでも同じく、楽しそうで、嬉しそうで、幸せそうだ。この番組をオマージュしているのは、きっと、主役はNakamuraEmiじゃなくて、この音楽を聴いて、日常をなんとか必死でやり過ごしていくあなたこそが主役なんだというメッセージを届けてくれているんじゃないだろうか。

 

 雨のように泣いてやれ。すごく素敵な言葉だと思う。そんな言葉を心に刻んで、あなたは茨の道を今日も進んでいく。そんなあなたの背中を押す楽曲と、そして、MVでありますように。