もりたのおもしろいものたち。

MVを見る男。関西電気保安協会 「関西電気保安グルーヴ Music by 石野卓球」

 

「つーれてって!たこまっさ!つーれてって!たこまっさ!」

「551があるとき!ないとき~」

 

 この2つと並んで関西で有名なCMフレーズ「かんさいでんきほーあんきょーかい」フレーズっていうか、これはサウンドロゴなんだけども。この「関西電気保安協会」があの電気グルーヴ石野卓球さんがまさかのコラボしてました。なにそれどういうこと。頭が追いついていかないのでとりあえず見てみました。

 

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 This is cool.

 

 もうこんなの関西人全員口開けてヨダレ垂らしながら見るでしょ。あの関西電気保安協会がこんなにカッコイイことある?実はテレビ見てても、関西電気保安協会のCMって多分新鮮味がなくなってるんですよね。関西人にとって飽きが来てるから。また言ってるよあのフレーズって感じで。ただそうなってるのも、逆に考えてみればそこまで浸透できる耳障りの良くて覚えやすいすごく良いサウンドロゴだってことなんだけど。ただ、ずっと使っているからやっぱり古臭いな~~って自分は思ってました。聴いたことがない人は、一番最初に流れているのがオリジナルのサウンドロゴです。すごく昭和を感じる。

 

 そこからの飛躍がすごい。まず、電気グルーヴ石野卓球さんにアレンジをお願いするところがもう天才。発案者、主食が電気の人?ピカチュウ?電気を取り扱う会社。エレキとエレクトロが共鳴(シンクロ)しないわけがないんですよ。今年の広告賞もうこれでいいよ。総ナメ。今年はこれで御終い。これ超えてくるプロモーション出てきたらやばいよ。それくらいの衝撃。共鳴するエレキとエレクトロ。融合する伝統と維新。この曲の素材って、「関西電気保安協会」と「電気は正しく安全に」という昔からずっと関西電気保安協会が使ってた言葉とあとは「オールウェイズアップデート」その他にも実際の検査中の「音」やら「声」なんですが、これをここまで現代どころか近未来までアップデートしてくる石野卓球さん。あわわわわわ、天才やでホンマに。

 

 映像も文句なし。シュールとクールの間を、マジでスレスレ狙って決めてきてる。中村俊輔フリーキック。ただただクールに仕上げても100点満点なんですけど、ここに謎の金髪少女をぶち込んでくる。ここよここ。これで120点。サウンドロゴ聞いてもらってるんでわかると思うんですけど、ちょっと関西電気保安協会っておちゃめなんですよ。関西らしさなんか知らないんですけど。ちょっと気の抜けたサウンドロゴがものすごくそう伝えてくる。あと、マスコットキャラの人形も。実際電気なんて危ないもの取り扱っているから、かなり真面目なんだろうけど。クールに決めているけど、ちょっとおちゃめ。そんな男。めっちゃモテそう。この映像は、そういう関西電気保安協会らしさをすごく表現できている。だから金髪少女はいる。絶対にいる。ファッションで言うところの抜け感。チラ見せ足首。そのバランスが絶妙なんです。ピーコもビビる。

 

「オールウェイズアップデート」

 

 ここまで色々言っていたんですが、実は一番大事な部分ってここなんじゃないかなって思っています。「Always update」直訳すれば、いつも更新している。これはこう言い換えるんじゃないでしょうか。「いつも最新の安全を」関西人の人達が絶対関西電気保安協会に抱いているイメージってやっぱり僕が思っていたように「古臭い」「昔馴染みの会社」じゃないでしょうか。でも、よくよく考えてみると、電気なんて日々技術が進歩しているのに彼らもまた発展し続けているのは当たり前のこと。そんなことを僕たちは見落としていたんです。それは、覚えやすくて親しみのあるサウンドロゴの効果、いわば呪いだったかもしれません。だからこそ、このMVも音楽も呪いを解くための手段でしかないんです。僕たちの中にある凝り固まった古臭い関西電気保安協会のイメージという呪いの。

 

 やろうと思えば、まったく新しいイメージを作り上げることだってできたはず。それを選ばずに、馴染みのあるサウンドロゴをアレンジした。それは「関西電気保安協会」がずっと大切にしていたブランドを、すべて捨てて生まれ変わるんじゃなくて、大事な部分を残したままずっとアップデートし続けているということ。それをこの広告は伝えたかったんじゃないでしょうか。少なくとも、この映像を見た人たちは関西電気保安協会のイメージが変わったんじゃないでしょうか。ブランドを損なわず、アップデートする。芸術面からも、広告面からも、今年最高の作品でした。