もりたのおもしろいものたち。

MVのはなし。(2)Linkin Park 「Faint」「Bleed It Out」

 

どうも、もりたです。

みなさんはストーリー仕立てのMVか、アーティストが歌いまくるMVだったらどっちが好きですか。ぼくはどっちも好きです。どっちにも良さがありますよね。

 

今日は歌いまくるほうの紹介です。2曲やります。

 

まず、1曲目。

 

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Linkin Park 「Faint」

 

 ただ3分間曲を演奏してるだけのMVがこんなにもカッコイイんですよね。逆光を受けながら、ただひたすらに演奏する。手の込んだことなんてひとつもない。そんな合成やCGが溢れている時代に喧嘩を売ってるようなMVです。

 

 演奏しているアーティストは、Linkin Parkリンキン・パーク

 

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 海外では超有名バンド。日本ではトランスフォーマーの主題歌を歌っていたことで有名ですね。ちなみに、このMV決して制作費が少なかったわけではありません。「Faint」が収録されている「Meteora」はメジャーに移籍してからの2ndアルバム。超大手ワーナー・ブラザーズと契約し、メジャー1枚目の「Hybrid Theory」が全米2位を記録。売りに売り出そうとしているときに、このMV。英断。監督であるマーク・ロマネク「こいつら歌ってるときが一番絵になるやん」って思ったんでしょう。

 

 

 前みたいな考察もなにもないので、ただただ格好良いことを伝えることしかできません。

 

 

 そんなわけにもいかないので、歌詞とにらめっこしながら様々なことを考えてきました。「Faint」とはかすかな、弱気な、気絶するなどの意味があります。歌詞のだいたいの意味は「背を向けないで。俺を無視しないで」とあの曲調には割に合わないものすごくなよなよしたことを言っていました。このMVでは主にLinkin Parkは影として映っています。普通ライブの映像って照らされている前からはっきりと映っているメンバーを撮りますよね。でも、彼らは強い光によって黒い「影」としてMVに映っている。ただ神々しくみえる演出かと思っていましたが、実際は誰からも見向きもされない影であることを表現しています。もしかしたら有名になる前の苦悩、そして、有名になったことへのこれからの不安を歌っているのかもしれません。

 

 曲は終盤に向かい、ボーカルのチェスター・ベニントンが振り返ります。その瞬間、影だった姿が鮮明なものへと変わります。「俺の話を聞いてくれ。嫌なことはわかってる。でも、今すぐ聞け。全部聞けって」そんな叫びとともに視点はひっくり返り、Linkin Parkが演奏しているシーンが鮮明に映し出されます。ここ、めっちゃかっこいいです。

 

 俺たちはここにいるんだ。ここで演奏しているんだ。もう無視しないでくれよ。

 

 そう叫ばれた気がしました。

 

 そんなかよわい(Faint)叫びを表現したMVではないでしょうか。

 

  

 そんでもって、もう1曲。

 

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Linkin Park 「Bleed It Out」

 

 こちらもLinkin Parkです。争っている会場を物ともせずただただ演奏しているように見えますが、実は会場の全員は逆再生されていて逆行した時間のなかでただ彼らだけが正しく時を刻みながら演奏しています。初見だったらまず途中まで気付かせないカメラワークが秀逸。 水で表現する逆行も素晴らしい。先ほど紹介した「Faint」よりも少し凝ったMVです。この曲が収録されているアルバムは「Meteora」の次に発表された3rdアルバム「Minutes To Midnight」このアルバムが発表された際は音楽性がかなり路線変更されたこともあり、賛否両論ともにありましたが最終的には世界31ヵ国で1位を獲ります。なんやこの怪物バンド。

 

 このMVの特徴である、逆再生。観客たちは曲に出てくる手榴弾もショットガンも彼らは使用していません。ただの殴り合いです。これではまるで理性のない猿ではありませんか。この逆再生は時代そのものに対して暴力という野蛮的な方法でしか物事を解決できないことを皮肉っているようにも感じます。

 

 Linkin Parkが楽器という人間らしさを手にし歌っているなかで、どうして世界は文明の発展とは逆行して野蛮的な暴力にありふれているんだろうか。

 

 そう問いかけられているよう。

 

 しかし、歌詞はかなり過激。曲のタイトルでもある「Bleed it out」も意味合いとしては「血を流せ」です。だからこそ、このMVの主題を明確には僕には説明できません。なにを思って逆再生にしたのか。そこから考えての憶測でしかありません。歌詞が何を意味しているのかわかれば、まだ深く考えられるのに。

 

 そしてもう1つ逆に考えれば、Linkin Parkが時代に逆行していることを表現しているようにも感じられます。先程も言いましたが、このアルバムからの音楽性の路線変更。

 

 時代が、観客たちが求めている曲ではなく、自分たちが演奏していきたい曲を逆行してでもやってやるんだ。

 

 そんな意志が伝わってくるMVでした。

 

 

 以上、Linkin Parkから2曲をお伝えしました。

 ご拝読ありがとうございました。

 

 

Meteora

Meteora

 

 

 

Minutes to Midnight

Minutes to Midnight

 

 

 

 ボーカルのチェスター・ベニントンは途中加入なんですが、加入の際のオーディションでチェスター・ベニントンが歌ったら、他の応募者が諦めて帰ってしまったっていう話がめちゃくちゃツボです。マンガかよ。