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MVを見る男。The Chemical Brothers「Wide Open ft. Beck」

 

(見る前)

 The Chemical Brothersが新アルバムを出すらしい。2019年春とのことで、非常に楽しみ。新曲のMVが発表されたりしたのだが、LIVE映像みたいだったのでもしかしたらしっかりしたのが出るんじゃないかと思ったので、それまでは少し待つことにする。新曲「MAH」はかなり良かった。アルバムが楽しみ。なので、久しぶりに昔から好きだったThe Chemical BrothersのMVを見る。

 

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 MV好きにとって、The Chemical Brothersは外せないアーティストだと思っている。「Star Guitar」「Let Forever Be」この2つの作品は特に素晴らしく、両作品が世界中のそれからのMV作成に与えた影響は多大なものではないだろうか。この2作品だけで記事とご飯3杯いけるはず。しかし、今回どうしても観たかったのは「Wide Open ft. Beck」だった。この美しさが、どうしても記憶に色濃く残っているからである。

 

 ただ一人の女性が、華麗に踊る。ただその姿はゆっくりと、形を失っていく。Wide Openとは直訳では大きく開かれたという意味ではあるが、今回の歌詞に関しては「恋人がいない状態」という使い方が正しく感じるのでそう使わせていただく。つまり、失恋の歌だ。何度も繰り返されているI’m wide open とは自分はいま恋人がいないということを伝えている。

 

 The Chemical Brothersがこの曲をBeckとコラボしていることを鑑みて、男目線の曲であると思える。そうすれば彼女がゆっくりと消えていくというのは、恋人との離別を表現しているのではないだろうか。彼女という、血の通った肉体は網状の透けた無機質な存在へとゆっくり消えていく。足、胸、手、そして、最後に顔。思い出がじわじわと消えていく。そして、活動を停止し、思い出は過去のものへとなっていく。そうした記憶の変遷を切なくなるようなダンスとその最先端の映像技術で表現しているのだろうか。とすれば、鏡のある一瞬に現れるそのままの姿でいた彼女の説明はどうすればいいか。それが僕にはまだわからなくて、何度もこのMVを見てしまっている。

 

 そして、そのダンスを担う演者は、ソノヤ・ミズノ。彼女は日系イギリス人のバレエダンサーであり女優でもある人物だ。まだ僕は見ていないが「ララランド」にも出演しているらしい。彼女のダンスもまたこれからどこかで見てみたい。そう思わせるような美しいダンスだ。

 

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是非、メイキング映像も見て欲しい。より、このMVが好きになると思う。