もりたのおもしろいものたち。

MVを見る男。People In The Box「ニムロッド」

 

(見る前)

 第160回芥川賞受賞作品ニムロッドは、この曲をイメージして作られたものであると明言されている。僕はこのMVが今まで見てきた作品の中でも最高峰の作品であると思っていたので、なんならその話を聞いた時にはそりゃこんなもん見たら創作意欲もどばどばとダムが決壊したみたいに溢れ出るよ、と思った。

 

 

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 最高。当たり前の話なんですがこのMVはPeople In The Boxのニムロッドの為だけにある作品。この世にこれ以外のニムロッドのMVがあったとして、多分僕は認めない。世界中にここまでこのPeople In The Boxの世界観を、僕たちファンがほぼほぼ想像していただろう理想で表現してくれたものはないと思う。ニムロッドを聴くたびに膨らんでいたそのイメージを完璧に映像にされた感覚なんです。ひょっとして脳覗かれてた?

 

 ぱらぱらと一冊の本をめくるごとに、目を奪われるような色彩の暴力。そして、それらを用いて生み出されるのはその彼等が持つ独特な空気を見事に表現した絵。更には、本を飛び出してくる絵たち。それが怒涛の勢いで押し寄せてくる。溺れるわ。ニムロッドの海で溺れてしまうわ。それくらい物語がドドドドドドドドドーーッて押し寄せてくる。

 
  一冊の本という枠組みがもうね、わかってるよね。People In The Boxってあれなんですよ。アイツら、一曲ごとに物語を作ってくるわけ。まさしく曲の姿を借りた物語。なんなら、その1つの物語のうち、数ページだけ曲にしてきましたけど何か?みたいな。それくらいの世界観が隠れているわけ。そんな彼等の曲のMVが、一冊の本。わかりみが深すぎる。尊い。ありがとう。神に感謝。

 

 だからこそ、エグいんですよ。曲だけでもう脳みそがびしょびしょになるまでその世界に浸されているのに、追い討ちを仕掛けるような完璧な挿し絵。動く挿し絵。飛び出す挿し絵。最初観た時はずーーっと鳥肌立ってましたから。People In The Boxが見ていた世界を、僕に見せてくれている。そんなことが可能だったんですか、と。僕こんなに幸せになってもいいんですか???

 
 アーティストは加藤隆さん。この方とpeople in the boxを引き合わせた人にもなんか賞あげたい。ていうか、このMV製作に携わった人僕が金持ちになったら絶対になんか贈呈する。ありがとう、本当にありがとうって気持ちしか言葉にできない。僕の人生にこの作品を刻めて、本当に良かったと思える作品。

 
 ありがとうしか言ってないんですが、本当に後世に語り継がれていってほしいほどの素晴らしい作品なんです。皆さんもぜひ布教してください。マジお願いします。

 

Citizen Soul

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