もりたのおもしろいものたち。

8月19日「止まりだしたら走らない」

 

 チャットモンチーの代表曲「風吹けば恋」をご存知だろうか。資生堂SEA BREEZEのCMソングであり、爽やかな恋を歌うこの曲は聴き終わった後にも気持ち良い感覚が残る。チャットモンチーは好きだ。染まるよ、とかは何度聴いたかわからない。なんとなくこの曲を思い出したのは夏だからとかじゃなくて、そのサビで歌われている「走り出した 足が止まらない」という歌詞からだった。

 

 走り出したら止まらない、という言葉はすごくいい。その行き先が甘酸っぱい恋だろうと汗臭い夢だろうと、後ろなんて振り向かずにただ一目散に全身全霊で走る姿を彷彿とさせる。そんなひたむきな人間を嫌いになる人はいないんじゃないだろうか。そんな素晴らしく勇気を貰える言葉だ。走り出したら止まらない。ただ、現実はどうなんだろうか。今日、僕はずっとずっとタイトルが気になっていた本を買った。

 

 

品田遊「止まりだしたら走らない」

 

止まりだしたら走らない

止まりだしたら走らない

 

 

 ゾクゾクした。ハッとした。この文字列にはとんでもない絶望が潜んでいる。ただ引っくり返ししただけの言葉遊びに見えるが、それこそが現実の無情さを語っている。走りだしたら止まらないんじゃなくて、止まりだしたら走らないんだ。もしも、人生で何かを諦めたものがあるならこのタイトルに共感する瞬間が必ずあるはずだ。あなたが何かを諦めた瞬間。将来なりたかった職業だとか、長年実現したかったことや、ずっとずっとしていた片思いとか。それまでどれだけ何も考えずに走っていたとしても、その足はゆっくりと歩みを遅くしていく。そして、ある時歩みを止めるだろう。

 

 そうなってしまっては、もう走ることはできない。火種は消えたら、もう点かない。それが現実なんだ。そう気付かされたタイトルだった。じゃあそんな絶望を突きつけてくるな、という訳じゃなくて、僕はきっとこのタイトルにはただ「止まるな」というメッセージが込められてるんじゃないだろうかと思う。止まりだしたら走らない。だから、どれだけゆっくりで遅くても人からわからなくてもただ走ってくれ。灯火はどれだけ小さくても絶やすな。諦めたらそこで試合終了ですよ。これは安西先生

 

 つまり、品田遊さんは安西先生なんです。

 

 結局タイトルが気になりすぎて、まだページを開いてないのでこれから読みます。

 

 ありがとうございました。