もりたのおもしろいものたち。

ものすごく遅くなったけど、テレビ番組「カイジ」がすごく良かった。

 

後出しジャンケンなら圧勝できるくらい遅いんですが、皆さん年末のバラエティー番組で印象に残ったのってなんですか。水曜日のダウンタウン?クイズ正解は一年後?すみません、藤井健太郎さんが携わっているものばかりをあげてしまいました。ファンなんです許しください。

 

僕はカイジです。

 

www.tbs.co.jp

 

カイジ。見られた方も多かったと思うんですが、僕の中では一番印象に残ったバラエティーでした。大事なのは一番笑ったんじゃないです。一番印象に残った番組だということ。最高でした。これはわかりやすく言ってしまえば、原作漫画のカイジに基づいて借金を背負っている一般人たちが、賞金を掴み取るためにゲームに参加する。そんな番組。

 

鉄骨渡り、多数決カード、すごろく。緊張感のある雰囲気でそれを壊さないように芸能人がスタジオで見てるわけでもなく、ワイプもない。ただ彼ら借金まみれの一般人が、賞金を手にするために必死にゲームをする。魅せ方上手な人なんているわけがないから、ただただ一般人がゲームしているだけ。だから、退屈に感じてしまう人もいたかもしれない。僕はこれをバラエティーというよりもドキュメンタリーとして見ていた。盛り上がりもなく、見せ場もない。ただ、ゲームをしている人たちを映したドキュメンタリー。

 

一歩間違えたら、大炎上。

 

番組の内容を話すのもあれなので、僕が本当に良かったと思う点だけお話ししますと、まず企画の段階でかなり危険な綱渡りしているんですよね。

 

借金まみれの一般人を集めて、ゲームをさせる。

 

これって一歩踏み外したら、ただ借金まみれの人たちをバカにしてるだけで終わってしまうんです。一言で言えば、晒し者。正直に言って、嫌悪感が最初はありました。そんな苦労している人たちをテレビという地上波に晒してバカにすることで笑いを取るなんて、とんでもなくひどいことじゃないですか。でも、違うんです。スタジオで芸能人が観てるワイプがないのは、ただ雰囲気を壊さないだけじゃなくてその見世物感を取っ払うことで視聴者が抱く嫌悪感を無くそうとしたのかなと思いました。実際ゲームの緊張は視聴者にもすごく伝わってきました。彼らの真剣さが手に取るようにわかり、ただただその圧に呑まれるばかり。本当に嫌悪感を抱かないんですこの番組。参加者をバカにしていない。この点がなかったら、僕は途中で見たくなくなっていたと思います。

 

友情、努力、勝利という王道たる部分。

 

ジャンプ三本柱なんですけど、僕はこの番組にめちゃくちゃこれを感じました。綱渡り、多数決カード。このゲームにて勝利した4人は地下労働施設で共同作業をします。最後の勝者は1人だけなんですが、そこでみんな仲良くなり、和気藹々と作業をしています。そして、それが終われば、最終決戦すごろくへと移るんですが、やっぱりギスギスする。闘いの際のギスギスはあれだけ仲良くしていたところを見せられると、辛いものがあります。すごろくにもチャレンジゲームがあり、そこでみんなでゲームに挑戦します。その際の並々ならぬ執念には、努力というか根性を感じました。そして、ゲームが終われば、その勝者へと敗者から賛辞が送られます。最初は悔しがってるんですが、みんな最後にはその方を応援します。ある敗者が勝者の言葉に涙するシーンでは、僕も涙を流しました。そんな王道たる友情努力勝利全てが揃った王道なんです。かなりアウトローなイメージの番組でしたが、蓋を開ければ一番王道的な番組なのかもしれません。

 

そして、最も素晴らしいと思えるのが誰も後ろを向いていないこと。

 

このゲーム、もう一度言いますが最終的な勝者は1人だけ。賞金を得られるのは1人だけなんです。だんだんと減っていく参加者。負けた人たちに残るのは、前と変わらない日常。この番組は途中途中でその後の脱落者を見せていくんですが、彼らは負けたことの悔しさよりもその勝負に参加したこと、一世一代の賭けに出たこと。それを誇りに思って、しっかり前を進んでいるんです。ここがこの番組がドキュメンタリーだと思える所以なんです。みんながみんな、前を向いてしっかり歩んでいく。どん底の中にいても一歩踏み出す勇気があれば、もしかしたら人生は好転するかもしれない。そんなことを、参加者にそして、視聴者に教えてくれる番組でした。

 

勝者の最後がラストシーンなんですが、淡々と流れていくインタビューや後ろ姿は、視聴者を奮い立たせてくれました。本当に僕はこの作品でもう一度人生頑張ってみようと思えました。

 

僕はこの番組で大笑いをしたことはありません。でも、一番心の深い部分に残りました。大爆笑だけがバラエティーなんでしょうか。バラエティーってなんなんだろう。そう思わせてくれる番組でした。テレビはまだまだ終わらない。そんな期待を抱かせるほど傑作だと思います。こんな誰もが前に向けるバラエティーを見せてくれた、参加者、TBS、そして、企画の藤井健太郎さん並びにスタッフの皆さま。本当にありがとうございました。マジで最高でした。

 

友情努力勝利の話をしていますが、カイジは週刊ヤングマガジンの作品です。