もりたのおもしろいものたち。

もりたの広告のお話。「おじいちゃんにも、セックスを」

 

 どうも、もりたです。

 

 先日、街中を歩いていたらおじいちゃんを見かけました。白髪ではありますが、背筋は曲がっておらずピンとなっていて、おじいちゃんというよりは老紳士と呼ぶほうが相応しい。そんな男の僕でさえ、見惚れるようなおじいちゃんでした。そんなおじいちゃんの横顔を見ていると、左耳にピアスが。おじいちゃんもピアスをするんだなぁなんて驚きを感じました。

 

 そんな時に思い出したのが、この広告。

 

 

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引用元:http://futuretext.co.jp/works/takarajimasha/862/

 

 

 おじいちゃんにもセックスを。

 

 かなり昔の広告なんですが、宝島社の新聞広告です。セックスなんて言葉を新聞広告に掲載していいのかと誰しもが思ってしまうかなりの問題作。でも、僕はこの広告がすごく好きでした。おじいちゃんにもセックスを。これは暗い世の中でもおじいちゃんがセックスを楽しめるくらい明るい世の中になればいいね。っていう意味合いを込めているとよく書かれているんですが、僕はそれだけではないと思います。ていうか、その発想が一度も出てこなくて本気で驚きました。それはおじいちゃんだってセックスする。という事実をただ突きつけ、そしてそれだけじゃなくて、社会への問いかけになっているのかもしれません。

 

 製作されたのは、前田知己さん。この他にも宝島社のコピーを手がけていて、「いい毒は薬」「日本人にもっと毒を」「癌に教えられる」など名作ばかりです。前田知己さんが代表を務めるfuturetextのワークスをまとめたサイトがありますので、ご興味のある方はぜひご覧ください。

 

futuretext.co.jp

 

 僕たちの思うおじいちゃんは、どんなイメージでしょうか。そりゃ怒りまくる人だっているだろうけれど、多くのおじいちゃんは朝早く起きて散歩したりNHKを見たり1日をのんびりしたりする。そんなおじいちゃんを、想像しているのではないでしょうか。セックスなんて言葉とは無縁の生活。この時実は、70代を超える人たちも性行為しているというデータもありました。私たちはおじいちゃんがこうであるという固定観念に囚われていて、実際のおじいちゃんがどんな生活を送っているなんて知りもしませんでした。

 

 これは今の社会でも通ずるものはあると思います。僕がもし、これの現代版を作るならば汚い話ですが「アイドルにも、うんこを」みたいな言葉を書くはず。おじいちゃんだってセックスするし、アイドルだってうんこする。そんな当たり前のことを、僕たちは見逃しているんです。SNSのなかった時代のコピーですが、今この時代でもこれは波紋を呼ぶのではないでしょうか。ソーシャルネットワークの中でのアカウントがあり、そこに僕らは偶像を描いています。でも実は、そんな人気を勝ち得ている人たちでさえ普通の生活があり、人生を過ごしている。

 

 おじいちゃんにもセックスを。アイドルにもうんこを。議員にもデリヘルを。どこか目に見える綺麗なところばかりを見つめていて、その実ただの人間であるということを忘れてはいませんか。時代は変わりましたが、その実人間がそういうところを見てしまうという事実が変化するのはとても難しいことなのかもしれません。

 

 

 こういう時代にこそ、またこんな広告を打ち出してほしいものです。

 

 こちらからは以上です。

 ありがとうございました。