もりたのおもしろいものたち。

おやすみプンプンに出てくる矢口先輩について語りたい。

 

 
どうも、もりたです。
皆さんはおやすみプンプンを読まれたことはありますか
 
浅野いにおさんによって描かれている、プンプンという人間の成長劇です。プンプンは実際は人間なんですが、漫画上ではひよこに足が生えたような生物として描かれています。だからこそ、感情の表し方が豊かで、そして、わかりやすいんです。浅野いにおさんの作風は現実的な人物や背景の描き方が多く、その中でコミカルなプンプンはとても目立ちます。そして、愛らしいんです。
 

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これです。いや冗談とかではなくて。
 
 
そんなかわいいプンプンはよくいる小学生。転校生でやってきた田中愛子ちゃんに一目惚れ。ある日起きたら、プンプンのお父さんとお母さんが喧嘩して、お母さんは入院。お父さんは傷害で逮捕。愛子ちゃんのお母さんは変な宗教団体に入っていて、そんなお母さんを嫌がる愛子ちゃんとプンプンは広島まで逃避行を企みます。その資金を手に入れるために廃工場に乗り込んだり、出来なかったら殺すから、と愛子ちゃんに脅されたり。しかし、結局お金がなくて出来なかった逃避行はお母さんの病院に向かうタクシーの中から愛子ちゃんが涙を流すのをプンプンが見たところで終わります。そんな絶望の中のわずかな希望を踏みしめて歩く小学生時代。そしてプンプンは愛子ちゃんとそのまま不仲になり、中学生になってからバドミントン部に加入します。そんなプンプンと平行して、プンプンの世話をする大船のおじさんの過去話や恋があるんですが
 

 

 
 
そんなことはぼかぁいいんです。
(そんなことは僕はどうでもいいんです)
 
 
なぜか。
 
 
だって、僕が今回紹介したいのは、おやすみプンプンではなく、おやすみプンプンに出てくる矢口先輩だからです。
 
 
先にある絶望を前にして、小さな希望の上をひたひたと歩く。
それがプンプンの物語なんです。いままでのあらすじは、矢口先輩が出てくるまで。だから、短め。ここからが本番なんです。
 
 
 
学生になったプンプンは、バドミントン部に加入しました。1年生はまだ外で素振りしか出来ないので、友達が文句を言っている横で黙々と素振りをしています。
 
 
そこに、矢口先輩が現れます。
 
 

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はい、この人がこの記事の主役です。
 
矢口先輩。イケメン。中学2年生。バドミントンはこの中学では上手いほう。後輩達の愚痴にも対応してあげる面倒見の良さもあり、彼女もいる。しかし、ヤリチンとも噂されている。
 
 
ここまで絶望ばかりの物語に、完璧と言わんばかりの先輩が登場します。
 
 
 
そして、彼、矢口先輩が付き合っている女の子こそが、プンプンの好きだった、いや、いまも好きでいる女の子、田中愛子なんです。愛子ちゃん
 
 
 
愛子ちゃんと矢口先輩が手を繋いでいるのを見てしまって、発狂するプンプン。部活をサボっていたところを矢口先輩に見つかり、少し話していると矢口先輩に対してボコボコにしてやりたい気持ちが止まりません。しかし、愛子ちゃんのこととは言いませんが、矢口先輩の彼女を想う気持ちから感じた矢口先輩に対しての尊敬、自分との対比、そのような複数の気持ちからプンプンは葛藤してしまいます。
 
 
 

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矢口先輩じゃなかったら、鼻にホース突っ込んで「あ?」って言ってますマジで。
 
 
そして、ある日矢口先輩から一緒に帰らないかと言われたプンプン。ほいほいついていくと、矢口先輩は真面目な顔つきでプンプンと愛子ちゃんの関係を探り出します。プンプンという言葉に表情が変わり、泣き出したとのこと。ここら辺から矢口先輩の顔に影が生じます。愛子ちゃんのことが好きだからこそ、これからの将来を色々考えたりしてるからこそ、プンプンと愛子ちゃんの関係が気になるんです。
 
 
そんな矢口先輩はプンプンに問いかけます。
 
 
「もしかして田中の本当に好きなやつって、小野寺なんじゃねーの?」
 
 
 
プンプンは、
 
 
 
「僕は、愛子ちゃんが好きです」
 
 
 
 
と答えます。お前のことを聞いてるんじゃねーよ、そう矢口先輩は呟きます。全読者もそう思います。そして、プンプンは泣きそうに。バドミントンのこと、彼女のこと、頭の中がぐちゃぐちゃになった矢口先輩は、思い切って一言言います。
 
 
 
「来週の県北(大会)、優勝できなかったら俺は田中のことは忘れる」
「だからお前、そしたらちゃんと田中に告れよ?」
 
 
 
「でも」
 
 
 
「俺が優勝したら、田中は一生俺のもんだ!!」
 
 
 
 
かーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!
 
これ、堪らなく良いですよね!!!!!愛子ちゃんの意思なんて考えてないんですよ。愛子ちゃんのことを考えてるのに。この矛盾。まだ成長していない中学生の心が叫ぶ、自分が中心で世界が回っているような自己中心的な発言。たまりません。
 
 
 
ここで僕は気付きました。
おやすみプンプンの、この中学生時代の主役は、矢口先輩なんだと。
 
 
 
矢口先輩のことが好きになりませんか?
風早くんより、僕は好きです。
 
 
 

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何回も貼るけど、見てこの笑顔。待受にしたいくらい。

 

そして、矢口先輩は有言通り県北大会の決勝まで駒を進めます。決勝まで進めれば、もう次なる大会への切符は確定しています。相手はこまっちゃん。プンプンの同級生で、自分の勝利に美学を持つ男。そうです、プンプンではないんです。その頃プンプンは何をしてるんでしょうか。メンバーにも入れず、2階から応援しているだけ。彼はこの物語では、脇役です。
 
実はちょくちょく出てくるんですが、実は矢口先輩は足を痛めています。こまっちゃんとの試合だって、本当は勝たなくても次に進めるんです。でも勝たなちゃいけない。自分が決めた約束のため。愛子ちゃんのため。
 
 
そんな戦いを見つめるプンプンのとなりに、愛子ちゃんが立ちます。愛子ちゃんはプンプンとこっそり手を繋いで、呟きます。
 
あの人はきっと、あたしなんかいなくてもひとりで幸せになれる人なんだ。
 
愛子ちゃんには矢口先輩の思いは通じていませんでした。もともと、エゴだったこと。仕方ないのかもしれませんが、少し悲しくなります。
 
 
プンプンは、なにも、答えられません。
 
 
 
 
ふと、変な音がしました。
 
 
 
 
矢口先輩が倒れています。足の限界が来てしまったようです。
愛子ちゃんを無視して、矢口先輩のところに向かうプンプン。
 
負傷した矢口先輩を取り囲む先生や後輩や母親。どうしてこんな無茶をしたんだと言われ続けるなか、後からやってきたプンプンを見つけて言います。
 
 
 
 
 
 
 
「小野寺」
 
 
 
 
 
 
「はは」
 
 
 
 
「俺」
 
 
 
「負けちゃった」
 
 
 
 
 
 
 
「お前の勝ちだね」
 
 
そう言い終えたあと、涙を流すんです。
 
このシーン、すごく良かったです。
画像はないです。買ってください。僕は男泣きしました。
 
 
 4巻に載ってるんで。

 

 

この巻に載ってますんで。 
 
 
ちなみに、このあと、矢口先輩は出てきません。
物語はまたプンプンのもとに収束するからです。
 
 
そんなプンプンの一生の、中学生編にしか出てこない矢口先輩が大好きなんです。
 
 
いずれは、三村も紹介したいですね。 
 
 
おわり。